エロマンガ島の三人を読んでみたら、既読だったのを思い出した。続けて佐渡の三人を読む。似た題名だけれど出演者は別だ。予想外にいい。「なんかもう、今思い出しても、拉致されそうな砂浜だったな」「どんな砂浜だ」「よかったね、されないで」私は父の顔をみた。「危なか ...
カテゴリ:book
何者 朝井リョウ
SNSで繋がった若者たちのシューカツ。企業への就職だけでなく演劇やアート方面で一旗揚げようと模索する者もいて、表ではエールを送り、裏アカウントでこき下ろしたり。登場人物のtwitterの書き込みが頻繁に挿入される。複数の山場や叙述トリック的な位相転換も組み込まれて ...
歴史が後ずさりするとき ウンベルトエーコ
熱い戦争とメディアという副題がついた、エーコのエッセイ集。分厚い知識を元に大上段から戦争を断ずる部分は、訳の拙さもあって今ひとつ迫ってこないのだけれど、ペイレールというカルヴァン教徒が17世紀に著したセンセーショナルな著作についての言及が面白かった。 ペイ ...
世界の食文化 (20) 極北 石毛直道,岸上伸啓
ネネツ人とイヌイット、どれほど食生活に違いがあるの?と気になって手にとった本。脂肪を舐め血を啜る食生活にどうしても抵抗を感じてしまう自分の了見の狭さを再確認しながら興味深く読んだ。しっかりとした実地研究のもとに書かれている感触で好印象。 ★★★★☆以下覚 ...
PK 伊坂幸太郎
得体の知れない大きな権力から脅しを受けて八百長を強いられた時、どのような決断を下すべきなのか。ちょっとした超能力を手に入れたら、どのように使うべきか。タイム・パラドックスにどのような解決を与えるべきか。色々なテーマを孕みつつ、はっきりしたカタルシスがある ...
嘘つき男と泣き虫女 アラン&バーバラ ピーズ
男には想像もつかないだろうが、女はどんな小さなことも決して忘れず、全部頭のなかのスコアブックに記録している。女がつけた点数はどんどん累積していって、決して帳消しにはならない。 どうしてうちの夫は分からず屋なのか?どうしておれの妻はこんなに面倒なんだ?そん ...
正直エビス 蛭子能収
蛭子能収の、格好つけない正直なエッセイ。雀荘やカジノで怖い目に会って、いじめに憤慨して、エロ・ナンセンスな漫画を描いて。実はサラリーマン経験者でもある。正直すぎて、落ちなしのような書きっぱなしも多くて、それも面白い。自分が上司に向いていると自信満々に語る ...
桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ
えっと、小説のほうです。桐島の噂が駆け巡る高校を、次々と視点を変えながら描く。星やどりの声より描写に手触りがあっていいなあ、でもガサツな青春ものにはそれほど興味持てないかなあ、と読み進むうち、宮部美果の章でちょっとツボを突かれて泣きそうになった。小説全体 ...
絶望の国の幸福な若者たち 古市憲寿
世代間格差でワシワシ詐欺にやられっぱなしの若者が意外に幸福感高いらしいよ、という論考。ネットから拾った統計資料の分析が続くので、ちょっと盛り上がりに欠けるかな?希望難民ご一行様のほうが現場感があって面白かったね。ただ震災後のボランティアの動きや、昨今のゆ ...
島とクジラと女をめぐる断片 アントニオ・タブッキ
ポルトガルの西方浄土、原始的なクジラ漁の残るアソーレス諸島をめぐる文章の断片。様々な文章の残り香の中に、島の姿が浮かび上がる仕掛け。ずいぶん気障だなあと気が乗らず読み進めたが、最後の「ピム港の女」哀しさと切迫感は良い感じ。島に降り立った女に惹かれた男が後 ...
レ・コスミコミケ イタロ・カルヴィーノ
Qfwfq老人の、スケールが大きすぎる(宇宙規模の!)昔語り。他の登場人物も、名前はPfwfpとか、(k)yKとか、意味不明な綴り。メタ小説なんですかね。でも、冒頭の月が地球に届きそうに大きかった頃の、Vhd Vhd夫人への片思いは素敵だったな。 しかしそのあとはどうも入り込 ...
星やどりの声 朝井リョウ
大黒柱を失った家族の再生の物語。母の行動を誤解する子どもたちがナイーヴすぎて、感情移入しづらいかな。若者の会話などはうまい部分もあるけど、全体的に描き方が類型的に感じた。深みは全くないんだけど、あえてそれを狙っているのかなあ。テレビ映えしそうな。★★☆☆ ...
薔薇の名前 ウンベルトエーコ
舞台は1327年、北イタリアのボッビオ近郊。(教皇の威光が届く限りの)世界中の知を集めた文書館を持つ僧院で、不審な事件が起こる。居合わせたウィリアムと従者のアドソが謎の解明に乗り出す。ベネディクト会やフランチェスコ会、ドルチーノ派その他様々な異端の宗派に関す ...
いるの いないの 京極夏彦 町田尚子
おばあちゃんの家で過ごすことになった子どもの気持ちを巧みに描いた絵本。とても絵がいい。結末を知らなかったので、興味を持って読み聞かせできた。暗がりのある家って、いいね。家が隅々まで明るすぎるのは味気ない。★★★☆☆ ...
飯待つ間 正岡子規
子規の文章は漱石よりも玄人衆の評価が高いようだけれど、どうも自分には合わないのかもしれない。漱石のほうがずっと好きだ。漢文調で読みにくいものあり、病膏肓に入ってどうにもやりきれないものあり。口語体創成期の苦労も慮って評価すべきところなのかな。ひとつ意外だ ...















