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おだやかに投げやりな登場人物が描かれる短編集。

なにを賭けるでもない女性の恋が描かれた「三十歳」、作者自身の備忘録にも思える「バルセロナの印象」が興味深かった。

エッセイ集「いろんな気持ちが本当の気持ち」に出てくるようなネタを使った会話文があったりする。日常の興味の延長で素直に筆をすすめる人なのか。

ディティールでうならせる。格調を重視する書き方の対極にあるような、自由な筆。

みずみずしい感性が要求されるこういう作品は、年をとっても書き続けていけるものだろうか?

…きっと書き手も読み手も変質していくのだろう。それもまた楽しみでもある。

★★★★

タンノイのエジンバラ 長嶋有