これで興味を抱き、読まなきゃなーと思っていたチャタレイ夫人をようやく読めた。

575Pとやや紙数があるけれど、展開が気になって読み進めるのが苦にならない。古い小説なのに、ぐいぐい迫ってくる。そして、古いからこその現在との齟齬もあり、そこも面白い。このあたり、菊池寛の「真珠夫人」に似ている!

システマチックで効率的だが人の精気を奪う近代社会を呪詛し、身分違いの略奪愛に陥るメラーズ。教授夫人フリーダを略奪し、放浪の人生を歩んだロレンス自身が色濃く投影されているのだろう。

この小説は1928年に発表されたが、今読むと性愛描写よりもむしろ差別描写で問題となりそうだ。

まずコニー(チャタレイ夫人)の夫であり、戦争で下半身不随となったクリフォード卿。性機能を失った彼が、徹頭徹尾悪く書かれている。障碍者描写に煩い昨今ではかえって書けないかもね。メラーズ=ペニス=人間vsクリフォード=不能=文明という対立が描かれる。

ロレンスのペニスに対するこだわりは相当なもの。作品の結びの一句にまでジョン・トマスとして出てくるほど。下半身不随でなくとも年をとって性機能を失う人などいくらもいるのだから、その中でこの小説を読んで気分を害する方もいるかもしれない。もちろんロレンスがペニスを連呼するのは文明批判のための方便なんだけど。

むしろもっとも問題となるのは、炭鉱労働者をこき下ろした一節かもしれない。しかもこれ、好意的に描かれるヒロイン、コニーの内心描写だからね!

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人間が持っているべき何ものかが彼らから絞りとられて殺されてしまった。しかもなお彼らは人間であった。…女は彼らの子どもを産んでやることもできるのだ。恐ろしい!考えるのも恐ろしいことだ!…醜悪さの化身!だがそれは生きている。…たぶん石炭が尽きるとともに、彼らもまた地球上から姿を消すのだろう。…彼らはただ炭層とともに現れ、それとともに消えてゆく薄気味悪い生物相なのだろう。

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どうです?この徹底的な上から目線の嫌悪。

笑えるシーンもある。全裸の二人が、お互いの陰毛にウットリと花を活けあうシーンは最高だ。

褒めても読まずにはなかなか伝わらないとおもうので、逆におかしな点ばかり書いてしまったけど、文学史に残る小説でありしかもいまだ面白いのでお勧めです。削除箇所が復活したものを手に入れるように注意。伊藤整訳なら、表紙に「完訳」とあるやつね。

★★★★★